カップ・ウィズ・ハンドル(Cup with Handle)とは?見方と実践的投資戦略
概要:カップ・ウィズ・ハンドルは、株価チャートが丸い底(カップ)とその後の小さな調整(ハンドル)を描くパターンで、ハンドル上抜け時は強気のブレイク候補になります。本記事では定義、判定基準、売買ルール、注意点をわかりやすく解説します。
目次
1. カップ・ウィズ・ハンドルの基本構造
- カップ:ゆるやかなU字型の底。時間をかけて形成されるほど信頼度が高い。
- ハンドル:カップ右肩での短期的な持ち合い・調整。通常は浅い下落か横ばい。
- ブレイクポイント:ハンドルの上値抵抗(レジスタンス)を出来高を伴って突破する点。
2. 形成される流れ(ステップ別)
- 上昇→利益確定で下落
- 底打ちして緩やかな右上がりでカップを形成
- カップの右肩付近で短期の持ち合い(ハンドル)を作る
- ハンドル上抜けでブレイクアウト、出来高増で信頼度上昇
3. 判定基準(実務的チェックリスト)
- カップ形成にかかる期間:数週間〜数ヶ月(長いほど良い)
- 深さ:高値からおおむね12〜33%の調整が理想(深すぎは注意)
- ハンドルの深さ:通常カップの深さの1/3程度が望ましい
- 出来高:カップ形成で減少、ブレイク時に急増が理想
- 右肩の高値(レジスタンス)を明確に超えること
4. エントリーと損切りの実務ルール
代表的なルール例:
- エントリー:ハンドル上抜けで成行もしくは指値(上抜け+出来高増を確認)。
- 指値幅:抵抗ラインの1〜3%上あたり(ボラティリティに応じて調整)。
- 損切り:ハンドルの安値またはハンドル下限の少し下(例:5〜8%下)で設定。
- 利確:リスクリワード比1:2以上を目安に、段階的利食いも推奨。
5. 出来高の見方
出来高はパターンの信頼度を測る重要な指標です。カップ形成中は出来高が減り、ハンドル上抜け時に出来高が増えるのが理想的。出来高が伴わないブレイクはダマシ(フェイク)になる確率が高いです。
6. 注意点とよくある失敗
- 形が似ているだけで相場環境が悪い場合は成功しにくい(マクロ要因に注意)。
- V字回復や急速な反発でできた「偽カップ」は信頼度が低い。
- 深すぎるカップ(大幅下落)はトレンド転換ではなく弱気継続の可能性あり。
- 出来高確認を怠るとブレイクの失敗で大きな損失を被る。
7. 実践例(簡単なシミュレーション)
例:A社株が高値1000円→調整で700円(30%下落)→数ヶ月で900円まで戻す→ハンドル形成後、抵抗950円を出来高を伴って上抜け→エントリー。損切りはハンドル安値(例:880円)に設定。目標は初期抵抗から前回高値を参考に設定。
8. まとめ(実務的まとめ)
カップ・ウィズ・ハンドルは長期的に形成された場合、強力な上昇シグナルになりうる一方で、形だけで判断すると失敗しやすいパターンです。出来高・期間・深さ・相場環境の4点をセットで確認し、明確な損切りルールを持って運用しましょう。
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