イギリスには「ISA(Individual Savings Account)」と呼ばれる強力な非課税投資制度があります。 日本でも2024年から新NISAが始まりましたが、両者には制度思想や使い勝手に大きな違いがあります。 本記事では、イギリスのISAと日本の新NISAを比較しながら、それぞれの特徴と違いを詳しく解説します。
イギリスのISAとは何か
ISA(Individual Savings Account)は、イギリス政府が国民の資産形成を促進するために導入した非課税口座制度です。 1999年にスタートしており、長年にわたって改良され、現在では国民の多くが利用する「当たり前の投資口座」となっています。
ISA口座内で得られた利益は、配当・利子・売却益すべてが非課税となり、将来いくら増えても課税されません。
日本の新NISAとは
新NISAは、2024年から始まった日本の少額投資非課税制度です。 従来のNISA制度を大幅に改正し、非課税期間の恒久化や投資枠の拡大が行われました。
つみたて投資枠と成長投資枠の2階建て構造となっており、長期・分散・積立投資を重視した設計になっています。
ISAと新NISAの制度思想の違い
両制度の最大の違いは、制度そのものに込められた「思想」です。
- イギリスISA:国民が自助努力で資産形成することを前提に、税制面で全面的に後押し
- 日本新NISA:投資を促進しつつ、一定の上限を設けて慎重に誘導
ISAは「国民総投資口座」に近い性格を持ち、新NISAは「優遇された投資枠」という位置づけです。
非課税期間と課税範囲の比較
項目 イギリス ISA 日本 新NISA 非課税期間 無期限 無期限 配当・利子 非課税 非課税 売却益 非課税 非課税
現在は両制度とも非課税期間は恒久化されていますが、投資枠の考え方に大きな違いがあります。
投資上限(枠)の違い
イギリス ISAの投資枠
- 年間投資上限:20,000ポンド(約380〜400万円)
- 生涯投資上限:なし
- 毎年投資枠がリセットされる
日本 新NISAの投資枠
- つみたて投資枠:年間120万円
- 成長投資枠:年間240万円
- 生涯投資枠:1,800万円
- 売却すれば投資枠は復活(簿価ベース)
長期かつ高額な投資を行う場合、投資上限のないISAの方が圧倒的に自由度が高い制度といえます。
投資できる商品の違い
ISAで投資できる主な商品
- 個別株式(国内・海外)
- ETF・投資信託
- 債券
- 現金(Cash ISA)
新NISAで投資できる主な商品
- 金融庁基準を満たした投資信託
- 上場株式・ETF(成長投資枠)
- デリバティブ取引は不可
ISAは投資の自由度が高く、新NISAは初心者保護を重視した設計になっています。
制度の完成度と国の本気度
イギリスでは「公的年金だけでは将来が不安」という前提のもと、投資による自助努力が社会に深く根付いています。 そのためISAは非常にシンプルで強力な制度として整備されています。
一方、日本の新NISAは大きく改善されたものの、まだ制度進化の途中段階といえるでしょう。
まとめ:ISAと新NISAの違いをどう捉えるべきか
- 制度完成度が高いのはイギリスのISA
- 日本で資産形成するなら新NISAを最大限活用するのが現実的
- 新NISAは今後も改正され、ISAに近づく可能性がある
イギリスのISAは、日本の新NISAが目指す一つの理想形とも言えます。 制度の違いを理解したうえで、自分に合った資産形成を行うことが重要です。

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