「モラトリアム」という言葉は、ニュースや心理学、学生生活の話題などでよく聞かれますが、その意味をしっかりと理解している人は意外と少ないかもしれません。
この記事では、モラトリアムの基本的な意味から、経済・法律の分野での使い方、そして心理学的な使い方まで、わかりやすく解説します。
1. モラトリアムとは?
モラトリアム(Moratorium)とは、「一時的な猶予」「延期」を意味する言葉です。ラテン語の「morari(遅らせる)」に由来しています。
分野によって使われ方が異なるため、ここでは主に次の2つに分けて解説します。
- ① 経済・法律におけるモラトリアム(支払いの猶予)
- ② 心理・社会におけるモラトリアム(大人になる猶予期間)
2. 経済・法律におけるモラトリアム
支払いや契約上の義務を一時的に免除・猶予する措置を指します。たとえば災害や金融危機などの非常時に、政府がローンや税金の支払いを一時的に止めることがあります。
例:
- 大地震の被災者に対して、住宅ローンの返済を半年間猶予
- パンデミックの際に、中小企業の納税を1年延期
目的は、人々や企業が生活や経営を立て直すための「時間的な余裕」を提供することにあります。
3. 心理・社会におけるモラトリアム
心理学では、「社会的な大人になる前の猶予期間」として使われます。
この概念は、発達心理学者エリク・エリクソンによって提唱されました。思春期から青年期にかけて、進路や自分らしさ(アイデンティティ)を模索している時期が、モラトリアムと呼ばれます。
例:
- 大学生が就職せず、しばらく自分探しをしている
- 社会に出ることをためらっているフリーターやニートの状態
この期間は一見「逃げ」に見えるかもしれませんが、本当の自分を見つけるために必要な時間とも言えます。
4. モラトリアムのまとめ
分野 意味 具体例 経済・法律 支払い・義務の一時停止 災害時のローン返済の猶予 心理・社会 大人になる前の自分探し期間 就職前の大学生の迷い
いずれの意味でも、「今すぐの行動を求めず、考える時間を与える猶予」という点が共通しています。
私たちが人生において立ち止まることを必要とする時、モラトリアムはとても大切な時間となるでしょう。
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