第二次世界大戦後、日本では「A級戦犯」「B級戦犯」「C級戦犯」という言葉が使われるようになりました。 これらは戦後の戦争犯罪裁判、とくに東京裁判(極東国際軍事裁判)で用いられた分類です。 しかし、「A級が最も重い罪」という誤解も多く、正確な理解が必要です。 本記事では、それぞれの違いを歴史的・法的観点から詳しく解説します。
A級戦犯とは|平和に対する罪
A級戦犯とは、侵略戦争を計画・準備・開始・遂行した責任を問われた人物を指します。 戦争中の個別行為ではなく、「戦争を始めたこと自体」が罪とされました。
- 対象:国家指導者・軍の最高幹部
- 罪名:平和に対する罪
- 裁判:東京裁判のみ
A級戦犯は、首相や外相、陸海軍の中枢にいた人物など、 国家の戦争方針決定に深く関与した者が対象となりました。
ただし当時、「侵略戦争を個人の犯罪として裁く国際法」は十分に確立されておらず、 事後法ではないかという法的批判も存在します。
B級戦犯とは|通常の戦争犯罪
B級戦犯は、戦争中に行われた国際法違反行為を理由に裁かれた人々です。 戦場や占領地での具体的な行為が対象となりました。
- 捕虜の虐待・殺害
- 民間人の不法殺害
- 略奪・暴行
- 不当な強制労働
下級将校や兵士も多く含まれ、東京裁判だけでなく、 各地で行われたBC級戦犯裁判で裁かれました。
C級戦犯とは|人道に対する罪
C級戦犯は、人道に反する重大な犯罪を行ったとされた人物です。 戦争の有無にかかわらず、人類全体に対する罪と位置づけられます。
- 組織的・大規模な虐殺
- 奴隷化・強制移住
- 拷問や非人道的行為
ナチス・ドイツによるホロコーストが代表例ですが、 日本ではB級戦犯と行為が重なることが多く、 B級・C級をまとめて「BC級戦犯」と呼ばれるケースもあります。
A級・B級・C級は「罪の重さ」ではない
よくある誤解として、「A級戦犯が最も重く、C級が軽い」という認識がありますが、 これは誤りです。
A・B・Cの区分は、あくまで罪の種類を示すものであり、 刑の重さは個別に判断されました。
- B級・C級戦犯でも死刑判決を受けた例は多数
- A級戦犯でも終身刑・禁錮刑の例がある
靖国神社とA級戦犯問題
1978年、A級戦犯14名が靖国神社に合祀されたことで、 国内外で大きな議論が起きました。
中国・韓国は「侵略戦争を正当化している」と反発し、 日本国内でも賛否が分かれています。
一方で、日本の国内法上では、戦犯はすでに刑を終え、 赦免されているという事実もあります。 この問題は、歴史認識と外交が複雑に絡むテーマといえるでしょう。
まとめ
- A級戦犯:戦争を始めた指導者の責任
- B級戦犯:戦場での国際法違反行為
- C級戦犯:人道に反する重大犯罪
- A・B・Cは上下関係ではなく分類
A級・B級・C級戦犯の違いを正しく理解することは、 戦後史や国際関係を考える上で重要な視点となります。

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