2025年6月FOMC議事録を徹底解説|利下げ時期とFRB内部の分裂が浮き彫りに

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2025年6月17日〜18日に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)の議事録が、7月9日に公表されました。この記事では、その要点をわかりやすく整理し、今後のアメリカ経済と金融政策への影響を解説します。

政策金利は4会合連続で据え置き

FOMCは、フェデラルファンド金利を4.25%〜4.50%のレンジに据え置くことを決定しました。これは4会合連続での現状維持となります。声明では「経済の不確実性は和らいだが、依然として高い」との表現に変更され、若干ながら慎重さが後退しています。

米経済の現状評価:堅調な成長と粘着質なインフレ

  • 経済活動: 緩やかながらも拡大基調を維持。個人消費や設備投資が堅調。
  • 雇用市場: 低失業率を維持しており、労働市場は強い状態が継続。
  • インフレ: 総合インフレはピークを越えたものの、コアインフレは依然として高止まりしています。

FOMCメンバーによる経済見通し(SEP)

以下はFOMC参加者による中央値予測です。 指標 2025年 2026年 2027年 長期 実質GDP成長率 1.4% 1.6% 1.8% 1.8% 失業率 4.5% 4.5% 4.4% 4.2% PCEインフレ率 3.0% 2.4% 2.1% 2.0%

利下げをめぐる意見の分裂

今回の議事録で最も注目されたのは、今後の利下げをめぐるFRBメンバー間の意見の分裂です。

  • 大多数:年内に2回程度の利下げが「適切」
  • 慎重派:年内利下げに慎重(インフレ高止まりを懸念)
  • 少数派:7月会合での利下げも視野に入れている

つまり、FRB内では今後の政策転換時期に対して明確な合意がなく、インフレ指標や雇用統計などの経済データに左右される柔軟な姿勢が取られています。

声明文の変更点と資産縮小の継続

  • 経済不確実性に関する文言が「さらに高い」→「和らいだが依然高い」に修正。
  • 失業率と物価に関するリスク表現の削除。
  • 資産縮小(月間最大400億ドルの米国債償還)は継続。

市場の反応と今後の見通し

金融市場では、9月FOMC(9月17日)での利下げ開始を織り込み始めており、年内2回の利下げを想定する動きが強まっています。とはいえ、最新データ次第で利下げの開始時期が7月に前倒しされる可能性も残されています。

まとめ:次回FOMCに向けた注目ポイント

  • 7月29〜30日のFOMCで利下げ議論が本格化する可能性
  • 経済指標(特にインフレ率と雇用統計)の動向がカギ
  • 市場とのコミュニケーションと政策の整合性維持に注目

FOMC内部の見解の分裂は、今後のFRBの舵取りが非常に難しい局面にあることを示しています。今後も、政策金利とインフレのバランスに注視が必要です。

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