2025年7月16日、暗号資産のセキュリティ研究者であるジェームソン・ロップ氏らが、ビットコインを量子コンピューターによるハッキングの脅威から守るための新しい提案を発表しました。
目次
■ 量子コンピューターがもたらすリスクとは?
現在のビットコインは「暗号技術」で守られていますが、量子コンピューターはこれを突破できる可能性があり、2027年にも実現するという見方があります。
特に問題視されているのは、全体の約25%のビットコインがセキュリティ的に弱い状態にあり、それにはサトシ・ナカモト(ビットコインの創設者)のウォレットも含まれます。
■ 新提案は3つのフェーズで進む
ロップ氏らの提案は、以下の3段階で実施されます:
- フェーズA:古い暗号方式(ECDSA/Schnorr)で作られたアドレスへの送金を禁止。代わりに、量子耐性のある新方式「P2QRH」への移行を促進。
- フェーズB:古いアドレスを完全に無効化し、そこにあるビットコインは凍結。
- フェーズC:BIP-39という形式で作成した「リカバリー用の合言葉」を使った安全な資産回復方法を検討。
■ なぜ今、対策が必要なのか?
量子コンピューターによる「Q-day(量子攻撃の日)」が現実になれば、ハッカーは誰にも気づかれずに古いウォレットからビットコインを盗む可能性があります。
それを防ぐためには、いまのうちに仕組みを見直して、古い暗号方式を使わせないようにする必要があります。
■ 実際に起きた出来事も影響?
2025年7月には、15年間まったく動かなかった「サトシ時代」のウォレットが、なんと85億ドル分(約1.3兆円)のビットコインを動かしたというニュースもありました。
これが、量子時代を意識したセキュリティ対策の一環ではないかとも言われています。
■ 今後のスケジュールは?
この提案はまだドラフト(草案)段階ですが、スケジュールとしては次のように予定されています:
- フェーズA:BIP-360実装から3年後に開始
- フェーズB:フェーズAの2年後に開始
■ まとめ:ビットコインの進化は“生き残るため”
量子コンピューターが現実のものとなりつつある今、ビットコインも新時代に向けて変わる必要があります。
その一環として提案されたこの新ルールは、たとえサトシ・ナカモトのウォレットが凍結されるリスクがあっても、全体を守るための重要な一歩といえるでしょう。
今後もこの提案の進展に注目が集まります。
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