ユーラシアグループ(Eurasia Group)は、世界最大級の政治リスク分析会社として知られ、 毎年「Top Risks(世界の10大リスク)」を発表しています。 2026年版では、地政学的対立、米中競争、AIの急拡大、資源問題などが複雑に絡み合い、 世界が大きな転換点を迎えていると警告しています。
① 米国の政治革命(US Political Revolution)
最大のリスクとされたのが、米国の政治システムそのものの変質です。 大統領権限の強化により、司法・立法との均衡が崩れ、 米国が主導してきた国際秩序の信頼性が低下する恐れがあります。
- 民主主義の制度疲労
- 政策の予測可能性低下
- 同盟国への影響拡大
② オーバーパワード(Overpowered)
中国がEV、AI、バッテリーなど「電気経済」で優位に立つ一方、 米国は依然として石油・ガス中心の経済構造に依存しています。 このエネルギー基盤の違いが、将来の覇権争いを左右するとされています。
③ ドンロー学説(The Donroe Doctrine)
米国が中南米に対する影響力を再強化し、 事実上の「新モンロー主義」に回帰する動きがリスクとされています。 ベネズエラなどを巡る介入が、地域の不安定化を招く可能性があります。
④ 包囲されたヨーロッパ(Europe Under Siege)
フランス・ドイツ・英国など主要国の政治的弱体化により、 EU全体の統合力が低下しています。 ポピュリズムの拡大と対外圧力が重なり、欧州の意思決定が難しくなっています。
⑤ ロシアの第二戦線(Russia’s Second Front)
ウクライナ戦争が長期化する中、ロシアはサイバー攻撃や影響工作など、 「ハイブリッド戦争」を拡大させています。 偶発的なNATOとの衝突リスクも無視できません。
⑥ 米国流の国家資本主義
米国政府が産業政策に深く関与し、 国家が「勝者と敗者」を選別する経済体制へ移行しつつあります。 自由市場原理の後退は、企業活動に新たな政治リスクをもたらします。
⑦ 中国のデフレーション・トラップ
中国経済は不動産不況と消費低迷に直面し、 構造的なデフレから抜け出せない可能性があります。 この影響は日本やアジア経済にも波及します。
⑧ AIがユーザーを食い尽くす(AI Eats Its Users)
AIの急速な普及が、情報操作・依存・社会分断を深刻化させるリスクが指摘されています。 ガバナンスが追いつかなければ、民主主義や社会の安定を揺るがしかねません。
⑨ ゾンビ化するUSMCA
米国・カナダ・メキシコの貿易協定(USMCA)が形骸化し、 北米のサプライチェーンや投資環境が不安定になる可能性があります。
⑩ 水という武器(The Water Weapon)
水資源の不足が国家間の緊張を高め、 「水」が戦略的カードとして使われる時代が到来すると警告されています。 気候変動がこの問題をさらに深刻化させます。
まとめ:2026年は世界秩序の転換点
ユーラシアグループの分析から浮かび上がるのは、 「単独の危機」ではなく、政治・経済・技術・資源が連動する複合リスクです。 2026年は、各国・企業・投資家が戦略の再構築を迫られる重要な年になるでしょう。

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