なぜ世界は自国優先主義に向かっているのか？

なぜ世界は急速に「自国優先主義」に向かっているのでしょうか？
近年、多くの国が国際協調よりも、自国の利益を最優先する政策に傾いています。本記事では、そんな世界の動きの背後にある6つの要因を詳しく解説します。

1. 経済格差の拡大とグローバリズムへの反発

グローバル化は経済全体の成長を促した一方で、利益が偏り、中間層や労働者層の不満が蓄積されました。「外国との貿易や移民が自分たちの仕事を奪っている」という意識が自国優先の風潮を後押ししています。

紛争や貧困、気候変動によって多くの移民・難民が先進国へ流入しています。この流れは文化的摩擦や治安への不安を引き起こし、「国境を守るべきだ」という世論を形成しています。

中国やインドなどの台頭により、経済や軍事のバランスが変化。アメリカなどの旧大国は、影響力を守るために、自国産業や技術を保護する政策を強化しています。

COVID-19は、医療物資や食料、半導体などの重要物資を海外に依存していたリスクを顕在化させました。これを機に「国内生産の強化」「経済安全保障」という考えが広がりました。

既存の政治エリートや国際主義への不信感から、国民の声を直接反映すると訴えるポピュリズム政党が勢力を伸ばしています。「自国第一」を掲げる政治家が多くの支持を得る時代です。

ロシアのウクライナ侵攻や、中国の台湾周辺での軍事行動などが、国際秩序への不安を高めています。結果として、各国はエネルギーや防衛分野において自国の自立性を高めようとしています。

協調と自由貿易を軸とした時代から、戦略的自立と国家競争を重視する時代に移行しつつあります。しかし、環境問題や感染症などの地球規模の課題は、依然として国際協力なしには解決できません。
自国を守ることと、世界と協力することのバランスをどのように取るかが、今後の世界に問われています。