近年のイランでは、反政府デモが繰り返し発生しており、2025年末から2026年にかけては特に深刻な事態となっています。 各国メディアや人権団体の報告によれば、治安部隊による武力弾圧により多数の市民が死亡したとされ、国際社会から強い非難が集まっています。 本記事では、現在起きている反政府デモの実態と、その背後にある歴史的背景を分かりやすく解説します。
現在のイラン反政府デモの概要
今回の抗議運動は、物価高騰、通貨安、失業率の上昇といった深刻な経済悪化をきっかけに始まりました。 当初は生活苦への抗議でしたが、次第に「政権そのものへの不満」へと変化し、首都テヘランを含む全国各地に拡大しました。
イラン政府はこれを「治安への脅威」「外国勢力による扇動」と位置づけ、革命防衛隊や治安部隊を動員して強硬な鎮圧に踏み切っています。 その結果、実弾使用や大規模逮捕が行われ、数千人規模の死者が出ているとの報道もあります。
なぜイランでは反政府デモが繰り返されるのか
イランの反政府デモは、突発的なものではありません。 その根底には、1979年のイスラム革命以降続く政治体制と社会の歪みがあります。
1979年イスラム革命と神権政治の成立
1979年、イランでは王制を打倒するイスラム革命が起き、現在の「イスラム共和制」が成立しました。 最高指導者が国家の最終決定権を持つ神権政治体制が確立され、宗教指導者が政治を強く統制する仕組みとなりました。
この体制下では、言論・表現の自由が厳しく制限され、反体制的な意見は弾圧されやすい構造が続いています。
経済制裁と国民生活の悪化
イランは長年、核開発問題などを理由にアメリカや欧米諸国から厳しい経済制裁を受けてきました。 その影響で通貨リアルは大きく下落し、インフレが慢性化しています。
制裁の影響は一般市民の生活を直撃し、 食料品や燃料価格の高騰 若年層の高失業率 中間層の急速な没落 といった問題が深刻化しています。 これが政権への不満を蓄積させ、周期的な抗議運動につながっています。
過去の大規模デモとの共通点
今回の反政府デモは、過去の抗議運動と多くの共通点があります。
- 2009年:大統領選不正疑惑による「緑の運動」
- 2019年:燃料価格引き上げに対する全国デモ
- 2022年:女性の服装規制を巡る抗議運動
いずれも最初は限定的な不満から始まり、最終的には体制批判へと発展し、武力弾圧によって多数の犠牲者を出しています。 この「抗議 → 弾圧 → 不満の再蓄積」という循環が、現在も繰り返されています。
なぜ今回のデモは特に深刻なのか
今回の反政府デモが特に深刻視されている理由は、以下の点にあります。
- 経済危機と政治不信が同時に噴出している
- 若者層を中心に体制への諦めと怒りが拡大している
- 治安部隊による実弾使用など、弾圧のレベルが極めて高い
単なる一時的な抗議ではなく、体制そのものの正当性が問われている局面といえます。
今後の見通し
短期的には、政府による強硬姿勢が続く可能性が高く、情勢の沈静化は容易ではありません。 一方で、経済状況が改善しない限り、国民の不満が解消されることも考えにくい状況です。
イランの反政府デモは、国内問題にとどまらず、中東情勢や国際政治にも影響を及ぼす重要な局面に入っていると言えるでしょう。

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