ヘリウムガスを吸うと、まるでアニメキャラクターのように声が高くなることがあります。これは一体なぜ起こるのでしょうか?本記事では、声の仕組みや音の伝わり方をもとに、その理由を詳しく解説します。
声はどうやって出るのか?
人間の声は、以下のプロセスで生まれます。
- 肺から空気を出す
- 空気が喉にある声帯を振動させる
- その振動が共鳴腔(口や鼻の空間)を通る
- 音が共鳴して「声」として聞こえる
つまり、声の高さや響きは声帯の振動だけでなく、音が空気中をどう伝わるか、共鳴腔でどう響くかも大きく関係しているのです。
空気とヘリウムの違い
普段吸っている空気は主に窒素(約78%)と酸素(約21%)で構成されています。一方、ヘリウムは非常に軽い気体です。 気体の種類 分子量(おおよそ) ヘリウム 4 空気 約29
この分子量の差が、音の伝わり方に大きな違いをもたらします。
音速の違いが声に与える影響
音は、気体中を振動として伝わります。気体が軽ければ軽いほど、音は速く伝わります。
- 空気中の音速:約340 m/s
- ヘリウム中の音速:約970 m/s(空気の約3倍)
ヘリウムを吸うと喉や口の中に一時的にヘリウムが満たされ、声帯から出た音がより速く伝わるようになります。これにより、共鳴腔での音の共鳴周波数(フォルマント)が上昇し、私たちには「声が高くなった」と感じられるのです。
実際には声帯の振動数は変わらない
重要なのは、ヘリウムを吸っても声帯そのものの振動数(ピッチ)はほとんど変化しないという点です。変わるのは、音の響きや強調される周波数(フォルマント)であり、それによって高く聞こえるのです。
ヘリウム吸引の注意点
ヘリウムを吸うと一時的に声が変わって面白い体験ができますが、安全性には十分注意が必要です。
- ヘリウムには酸素が含まれていないため、酸欠を起こす危険性がある
- めまいや意識障害、最悪の場合は窒息や死亡のリスクもある
ヘリウムを使う際は、換気の良い場所で、少量かつ短時間だけにとどめ、絶対に連続吸引しないようにしましょう。
まとめ:ヘリウムで声が高くなる理由
- ヘリウムは空気より軽く、音が速く伝わる
- その結果、声の共鳴周波数(フォルマント)が上昇
- 声帯の振動数は変わらないが、声が高く聞こえる
ヘリウムを吸ったときの「高い声」は、物理的な現象に基づいた科学的な理由があるのです。正しく理解し、安全に楽しみましょう。
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