「くわばらくわばら(桑原桑原)」とは、昔から日本で使われてきた雷除け(かみなりよけ)のまじないの言葉です。
雷が鳴ったときに「くわばらくわばら」と唱えることで、
「雷が落ちませんように」「災いが来ませんように」という願いを込めていました。
つまり、恐怖や災難から身を守るためのおまじないの言葉です。
語源(由来)には諸説あり
「くわばらくわばら」の由来にはいくつかの説がありますが、最も有名なのが菅原道真(すがわらのみちざね)伝説です。
① 菅原道真伝説(最も有力な説)
平安時代の学者・政治家である菅原道真は、藤原氏の陰謀によって太宰府に左遷され、恨みを抱いたまま亡くなったとされています。
その後、京都では道真の祟りとされる落雷や火災が相次ぎました。
ところが、道真の領地であった「桑原(くわばら)」という地域には雷が落ちなかったことから、
人々は「道真公は自分の土地には雷を落とさない」と信じ、雷が鳴ると
「ここは桑原、桑原ですよ!」と唱えるようになりました。
これが現在の「くわばらくわばら」という言葉の起源とされています。
② 桑畑説(民間信仰に基づく説)
別の説では、「桑原」は特定の地名ではなく、桑の木が生える畑(桑畑)を意味すると言われています。
桑の木は雷が嫌う植物と信じられており、
「ここは桑畑ですよ、雷さま来ないでください」という意味で「くわばらくわばら」と唱えたとする説もあります。
現代での使い方
現代では雷除けという意味で使われることはほとんどなく、
「悪いことが起きませんように」「災難を避けたい」という比喩的な意味で使われています。
たとえば、
「明日の試験、落ちませんように。くわばらくわばら。」
「また上司に怒られそうだ…くわばらくわばら。」
といった形で、軽い冗談まじりに使われます。
まとめ
項目内容 意味雷や災いを避けるためのまじないの言葉 語源菅原道真の領地「桑原」に雷が落ちなかった伝説 現代の使い方「悪いことが起きませんように」という冗談交じりの祈り言葉 類似表現南無三!、勘弁してくれ、神様お願い、など
おわりに
「くわばらくわばら」は、ただの迷信ではなく、日本人が自然の力を恐れつつも敬う心を表した言葉でもあります。
雷が鳴ったら、ふと昔の人の気持ちになって「くわばらくわばら」と唱えてみるのも面白いかもしれませんね。

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