黄金株(ゴールデン・シェア)とは、企業の重要な経営判断に対して拒否権(veto)を持つ特別な種類株式です。通常の株式以上の権限を持ち、特定の株主に強いコントロール権を与えるために用いられます。
黄金株の特徴とは?
特徴 内容 拒否権 定款変更や合併など、重要事項に対して単独で否決可能 保有者 国家、創業者、大株主など特定の者に限定される 一般株と違う点 通常の議決権に加えて、特別な決定権が付与される 目的 経営の安定、防衛策、国家戦略の維持など
黄金株が関与する「重要事項」の例
- 定款の変更
- 合併・会社分割・解散
- 新株発行による持ち株比率の変動
- 主要資産の売却
- 外資による買収や敵対的買収(TOB)
日本における黄金株の活用事例
日本の会社法では「種類株式制度」により、拒否権付き株式(黄金株)の設定が可能です。たとえば、2010年の日本航空(JAL)の再建時には、政府系機関が黄金株を保有し、重要な意思決定に関与することで、経営の安定化を図りました。
導入に必要な手続き
- 株主総会での承認が必要
- 定款への明記が義務付けられている
- 他の株主の権利を損なわないよう注意が必要
海外における黄金株の活用例
国 活用事例 イギリス BT(ブリティッシュ・テレコム)などで国家が拒否権を保持 中国 戦略産業のIT企業で国家が黄金株を保有 フランス・ドイツ 国が特定企業に対して防衛策として活用
黄金株のメリット・デメリット
メリット
- 企業経営の安定性を維持できる
- 敵対的買収からの防衛が可能
- 国家戦略や社会インフラの保護につながる
デメリット
- 他の株主の権利を制限するおそれがある
- 市場の透明性に疑問が生じる場合がある
- 外部投資家からの評価が下がるリスクもある
まとめ:黄金株は企業統治の「最後の砦」
黄金株は、企業の命運を左右するような重大な判断に対し、特定の株主が拒否権を行使できる強力な手段です。経営の安定や戦略的資産の保護を目的に、日本でも一定の条件下で活用が進んでいます。ただし、一般株主の平等性を損なう可能性もあるため、その設計と運用には慎重な判断が求められます。
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