日本におけるレアアース調達の重要性
レアアース(希土類元素)は、電気自動車(EV)、風力発電、スマートフォン、半導体製造装置、防衛関連機器など、 現代の先端産業に不可欠な戦略資源です。日本は資源小国であり、レアアースをほぼ輸入に依存しているため、 その調達状況は経済安全保障の観点から極めて重要視されています。
日本のレアアース調達の現状
中国への高い依存度
日本のレアアース調達は長年にわたり中国への依存度が非常に高い状態が続いてきました。 現在でも、日本が輸入するレアアースの約6割前後は中国由来とされており、 特にジスプロシウムやテルビウムなどの「重希土類」は、中国依存が極めて強いのが実情です。
中国は採掘だけでなく、精錬・加工工程でも圧倒的なシェアを持っており、 この構造が日本にとって大きな供給リスクとなっています。
中国以外からの調達拡大
中国依存を減らすため、日本は調達先の多様化を進めています。 近年ではベトナム、タイ、インドなど東南アジア諸国からの輸入が増加しており、 一定の分散効果が生まれています。
ただし、これらの国々は供給量や品質面で中国を完全に代替できる段階には至っておらず、 依然として中国の影響力は大きい状況です。
供給リスクと地政学的要因
レアアースは地政学リスクの影響を受けやすい資源です。 過去には中国が外交問題を背景にレアアース輸出を制限した例もあり、 近年も輸出管理や許認可の厳格化が懸念されています。
こうした状況は、日本の自動車産業やエレクトロニクス産業に直接的な影響を及ぼす可能性があり、 安定供給の確保は国家的課題となっています。
供給多様化に向けた日本の取り組み
オーストラリアとの協力強化
日本はオーストラリアのレアアース企業と連携し、中国以外の供給ルート構築を進めています。 特に重希土類の分野では、中国以外では数少ない実用的供給源として注目されています。
この取り組みは、調達先分散だけでなく、国際的なサプライチェーン強化という意味でも重要です。
南鳥島沖の海底レアアース資源
日本政府は、南鳥島沖の排他的経済水域(EEZ)に存在する海底泥に含まれる レアアース資源の開発を進めています。 この海底泥には大量のレアアースが含まれているとされ、 将来的に国産資源として活用できる可能性があります。
実用化にはコストや環境面の課題がありますが、 成功すれば日本のレアアース調達構造を大きく変える可能性があります。
リサイクルと代替技術の開発
供給面だけでなく需要面からの対策として、 使用済み製品からレアアースを回収するリサイクル技術の開発も進んでいます。 また、レアアース使用量を削減するモーター技術や、 レアアースを使わない代替材料の研究も重要な取り組みです。
今後の課題と展望
日本のレアアース調達は、かつてと比べれば多様化が進んでいるものの、 依然として中国依存から完全には脱却できていません。 特に重希土類の安定確保は今後も大きな課題です。
今後は、海外資源との連携強化、国産資源開発、リサイクル技術の高度化を 同時に進めることで、供給リスクを抑えた持続的な調達体制を構築していくことが求められます。
まとめ
日本のレアアース調達は、中国依存という構造的課題を抱えながらも、 調達先の多様化や国産化、技術革新によって改善が進められています。 レアアースは今後の脱炭素社会や先端産業の鍵を握る資源であり、 その安定確保は日本経済の競争力を左右する重要なテーマといえるでしょう。

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