「おはようございます」「こんにちは」「こんばんは」「いってらっしゃい」「お疲れさまです」など、私たちは毎日のようにさまざまな挨拶を使っています。
しかし、改めて考えてみると、「なぜこの言葉を使うのだろう?」と疑問に思う挨拶も少なくありません。
実は、日本の挨拶には、昔の日本語や相手を気遣う気持ちが込められているものがたくさんあります。
この記事では、日本人が日常的によく使う挨拶の意味や由来を、分かりやすく解説します。
「おはようございます」は何の略?
「おはようございます」は、「お早うございます」がもとになった言葉です。
「早い」という言葉の古い形である「早う」に、丁寧な接頭語の「お」と、「ございます」が組み合わされています。
意味としては、現在の言葉に近づけると、「お早いことでございます」といった表現になります。
そこから、朝早くから仕事などをしている相手に対して、「朝早くからご苦労さまです」といったニュアンスを持つ挨拶として使われるようになったと考えられています。
なお、「おはようございます」は必ずしも朝だけに使われるわけではありません。
芸能界やテレビ業界、飲食業などでは、仕事の開始時に時間帯を問わず「おはようございます」と挨拶することがあります。
「こんにちは」は何の略?
「こんにちは」は、もともと現在の形だけで完結する言葉ではありません。
昔は、「今日はお元気ですか」「今日は良いお天気ですね」などのように、「今日は……」から始まる挨拶が使われていました。
その「今日は」の部分が挨拶として定着し、「こんにちは」になったとされています。
つまり、「こんにちは」は、もともと後に続く文章が省略されて定着した挨拶と考えることができます。
「こんばんは」は何の略?
「こんばんは」も「こんにちは」とよく似ています。
もともとは、「今晩はお元気ですか」「今晩は良い夜ですね」などのような文章から、「今晩は」という部分が挨拶として独立したものです。
そのため、次のような関係になります。
- こんにちは=「今日は……」
- こんばんは=「今晩は……」
どちらも、後に続く言葉が省略されて現在の挨拶として定着したものです。
「さようなら」の意味と由来
「さようなら」も、もともとは現在の形だけで使われていた言葉ではありません。
漢字では「左様なら」と表記できます。
「左様」には、「そのように」「そういうことで」という意味があります。
昔の別れ際には、「左様ならば、これにて失礼いたします」のような表現が使われていました。
つまり、「左様なら」=「それでは、そういうことで」という意味の言葉が、別れの挨拶として定着したと考えられます。
「いってきます」の意味
「いってきます」は、文字通り「行ってきます」という言葉です。
ただし、「行きます」という意味だけではありません。
「行って、そして戻ってきます」という意味を含んでいます。
そのため、外出するときに「いってきます」と言うことで、「これから出かけますが、また帰ってきます」という意思を相手に伝えていることになります。
「いってらっしゃい」の意味
「いってらっしゃい」は、「行って」+「いらっしゃい」からなる表現です。
意味としては、「行って、そして帰ってきてください」というニュアンスがあります。
そのため、「いってきます」と「いってらっしゃい」は、とても相性の良い組み合わせです。
出かける人が「いってきます」と言い、それを見送る人が「いってらっしゃい」と返します。
単なる「バイバイ」ではなく、「気をつけて行ってきてね。そして無事に帰ってきてね」という相手を気遣う気持ちが込められていると考えると、日本語らしい温かさを感じます。
「ただいま」の意味と由来
「ただいま」は、漢字では「只今」と書きます。
「只今」には「今」「現在」という意味があります。
帰宅したときに、「ただいま帰りました」と言っていたものが短くなり、「ただいま」だけでも帰宅の挨拶として通じるようになったと考えられます。
「いってきます」と同じように、日常生活の中で非常に自然に使われている挨拶です。
「おかえりなさい」の意味
「おかえりなさい」は、漢字では「お帰りなさい」と書きます。
帰ってきた人に対して、「お帰りなさい」と声をかけることで、帰宅を歓迎する意味を表します。
「いってらっしゃい」と「おかえりなさい」もセットになっています。
日常生活では、次のような一連の挨拶になります。
- 「行ってきます」
- 「いってらっしゃい」
- 「ただいま」
- 「おかえりなさい」
こうして見ると、日本語には「行っても、無事に帰ってきてね」という気持ちを表す挨拶が自然に組み込まれていることが分かります。
「お疲れさまです」の意味
「お疲れさまです」は、相手の労苦をねぎらうための表現です。
文字通り考えると、「あなたは疲れましたね」という意味になりそうですが、実際には「頑張っていますね」「ご苦労さまです」といった相手へのねぎらいを表す言葉として使われています。
仕事が終わったときだけでなく、仕事中に同僚と会ったときなどにも使われます。
現代の日本の職場では、非常に一般的な挨拶の一つです。
「ありがとうございます」の意味と由来
「ありがとうございます」は、「ありがとう」に丁寧な「ございます」が付いた表現です。
「ありがとう」は、もともと「有り難い」という言葉から来ています。
「有り難い」とは、文字通りには「有ることが難しい」という意味です。
つまり、「めったにない」「非常にありがたい」という意味から、相手から受けた親切などに対する感謝を表す言葉になったと考えられています。
「ありがとうございます」は、現在の日本語を代表する感謝の表現です。
「すみません」の意味と由来
「すみません」は、「済む」という言葉と関係しています。
「済む」には、「物事が終わる」「気持ちが収まる」といった意味があります。
「すみません」は、「このままでは気持ちが済まない」という感覚から生まれた表現とされています。
そのため、「すみません」は単なる謝罪だけに使われる言葉ではありません。
日本語では、誰かに親切にしてもらったときにも、「すみません」と言うことがあります。
これは、「わざわざ親切にしてもらって申し訳ないです」という、謝罪と感謝が混ざった表現ともいえます。
「ごめんなさい」の意味と由来
「ごめんなさい」は、漢字では「御免なさい」と表記できます。
「免」には「許す」という意味があります。
「御免」は、もともと許しを請う表現として使われていました。
そのため、「ごめんなさい」には、「どうか許してください」という意味合いがあります。
「すみません」と同じく謝罪に使われますが、場面によっては、相手に直接謝る気持ちをより強く感じさせる表現です。
「もしもし」の意味と由来
「もしもし」は、電話でおなじみの言葉です。
これは「もし」という言葉を単純に2回繰り返したものではなく、電話での呼びかけとして使われた「申す、申す」が変化したものだとする説が有名です。
「申す」は、「言う」の謙譲語です。
電話が普及した当初、相手に声が届いているか確認するために「申す、申す」と呼びかけていたものが変化し、現在の「もしもし」になったと考えられています。
ただし、「もしもし」の語源については諸説あり、必ずしも一つの説だけで確定しているわけではありません。
日本の挨拶には相手を思いやる気持ちがある
ここまで見てくると、日本の挨拶には興味深い共通点があることに気づきます。
「いってらっしゃい」には、「無事に帰ってきてください」という気持ち。
「お疲れさまです」には、「あなたの苦労をねぎらいます」という気持ち。
「ありがとうございます」には、「あなたの親切をありがたく思っています」という気持ち。
そして「おはようございます」にも、朝早くから活動している相手への気遣いが背景にあります。
つまり、日本の挨拶は単に情報を伝えるだけの言葉ではなく、相手との関係を円滑にするための気遣いが込められた言葉が多いのです。
まとめ|普段使っている挨拶には深い意味がある
「おはようございます」「こんにちは」「こんばんは」「さようなら」「いってらっしゃい」「お疲れさまです」など、私たちは毎日たくさんの挨拶を使っています。
しかし、その一つ一つを詳しく調べてみると、昔の日本語や人間関係、相手を思いやる気持ちが背景にあることが分かります。
特に「いってきます」と「いってらっしゃい」、「ただいま」と「おかえりなさい」は、単なる定型文ではなく、「行ってきます」「気をつけて」「無事に帰ってきて」「おかえり」という、人と人との温かいつながりを感じさせる言葉です。
普段何気なく使っている挨拶だからこそ、その意味や由来を知ると、いつもの言葉が少し違って聞こえてくるかもしれません。
身近な日本語には、まだまだ「なぜこんな言い方をするの?」と思う言葉がたくさんあります。そうした言葉の由来を調べてみるのも、日本語の面白さを知るきっかけになりそうです。
関連記事
- 霧・靄・霞・朧の違いを徹底解説|意味・使い分け・風情の違いが一目でわかる
- 「満月」と「新月」の仕組みとは?月の満ち欠けをわかりやすく解説
- 【雑学】水・コーヒー・バナナ・オレンジの致死量はどれくらい?身近な食べ物の危険ラインを解説

コメント