なぜアメリカはグリーンランドを狙うのか?軍事・資源・中国対策から読み解く北極戦略

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なぜグリーンランドが注目されているのか

近年、グリーンランドを巡ってアメリカの動きが活発化しています。2019年にはトランプ前大統領が「グリーンランド購入」に言及し、大きな話題となりました。 この発言は突飛に見えますが、背景には軍事・資源・地政学という極めて現実的な国家戦略があります。

① 軍事・安全保障上の最重要拠点

グリーンランドは北米と欧州を結ぶ位置にあり、北極圏の要衝です。ロシアの大陸間弾道ミサイル(ICBM)は北極圏を通過するため、ここはミサイル早期警戒において極めて重要な場所となっています。

実際にアメリカは、グリーンランド北西部にピトゥフィク宇宙基地(旧チューレ空軍基地)を保有し、弾道ミサイル探知や宇宙監視を行っています。

② 中国の北極進出を強く警戒

中国は自らを「北極近隣国家」と位置付け、北極圏への関与を強めています。グリーンランドでは、港湾整備や空港建設、レアアース開発への中国資本流入が懸念されました。

アメリカにとって、グリーンランドが中国の影響下に入ることは国家安全保障上の重大なリスクです。そのため、アメリカはデンマークやグリーンランド自治政府に対し、経済支援や外交圧力を強めています。

③ レアアースなど戦略資源の確保

地球温暖化により氷が溶けることで、グリーンランドの地下資源が現実的に採掘可能になりつつあります。

  • レアアース(EV・半導体・軍需産業に不可欠)
  • ウラン
  • 石油・天然ガス

現在、レアアース供給は中国依存が極めて高く、アメリカにとっては弱点です。グリーンランドは非中国圏での代替供給地として戦略的価値を持っています。

④ 北極航路という新たな海上覇権

北極海の氷が減少すれば、アジアと欧州を最短距離で結ぶ北極航路が本格化します。これにより、スエズ運河やマラッカ海峡への依存度が下がります。

アメリカは、ロシアや中国がこの航路の主導権を握ることを警戒しており、グリーンランドは航路監視と制海権確保の拠点として重要です。

⑤ トランプ前大統領の「購入」発言の真意

トランプ前大統領の発言は非現実的と批判されましたが、アメリカには1867年のアラスカ購入という前例があります。

グリーンランドを長期的な安全保障投資と捉えれば、戦略的には合理性がある発想でした。ただし、デンマークはNATO加盟国であり、グリーンランドには自治権があるため、実現性は低いものでした。

⑥ デンマークとグリーンランドの立場

デンマークはアメリカと同盟関係にありますが、主権を手放す考えはありません。一方、グリーンランド自治政府は将来的な独立志向を持ちつつも、アメリカと中国の双方に過度に依存しない姿勢を取っています。

まとめ:アメリカの本当の狙いとは

アメリカがグリーンランドを重視する理由は以下に集約されます。

  • ロシア・中国への軍事的抑止
  • 北極圏の覇権確保
  • レアアースなど戦略資源の確保
  • 北極航路の主導権維持
  • 中国の影響力排除

グリーンランドを巡る動きは、21世紀の静かな大国競争の象徴であり、今後も国際情勢を左右する重要なテーマとなるでしょう。

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