近年の国際ニュースで「拿捕(だほ)」という言葉を目にする機会が増えています。 特に最近では、アメリカが制裁対象国と関係するとされる石油タンカーを公海上で拿捕したことで、大きな議論を呼びました。 本記事では、拿捕の意味を基礎から解説し、今回のアメリカの事例を通して国際法上の問題点を整理します。
拿捕(だほ)とは何か?
拿捕とは、戦争や武力紛争、またはそれに準ずる国際的緊張状態において、 国家が敵国または特定条件下の船舶・航空機・貨物を強制的に押収する行為を指します。 主に海上で行われる行為として知られ、国際法・戦時法の専門用語です。
単なる「押収」とは異なり、拿捕は国家権力による国際的行為であり、 本来は戦争状態にあることが前提とされてきました。
拿捕の主な対象
- 敵国の軍艦・商船
- 敵国へ向かう軍需物資を積んだ船舶
- 制裁逃れに関与しているとされる船舶
- 条件次第で中立国の船舶
最近起きたアメリカによる石油タンカー拿捕
2025年末から2026年初頭にかけて、アメリカは制裁対象国と関係があるとされる石油タンカーを複数拿捕しました。 これらのタンカーは、ロシアやベネズエラなどと結びついた原油を輸送していた疑いがあるとされています。
アメリカ側は、
- 制裁対象国の資金源を断つため
- 国際的な制裁体制を維持するため
- 国内裁判所の令状に基づく正当な執行
と説明しています。
なぜ問題になるのか?
今回の拿捕が大きな議論を呼んでいる理由は、 戦争状態ではない平時に、公海上で他国籍船舶を強制的に拿捕した点にあります。
国連海洋法条約では、原則として公海上の船舶は旗国主義により、 船籍国の法律にのみ従うとされています。 そのため、
- 一国の国内法(制裁)を根拠に
- 他国船舶を武力で拿捕すること
は、国際法違反ではないかという批判が出ています。
「拿捕」と「海賊行為」の違い
区分 内容 拿捕 国家が公的権限として行う行為(合法性は状況次第) 海賊行為 国家権限を持たない者による違法な襲撃・略奪
ロシアやベネズエラは今回のアメリカの行為を「事実上の海賊行為」と強く非難していますが、 アメリカはあくまで「合法な執行」だと主張しています。
現代における拿捕の位置づけ
現代国際社会では、従来型の戦争が減少し、
- 経済制裁
- 金融制裁
- 資産凍結
が主な対抗手段となっています。 その中で行われる拿捕は、極めて異例で政治的意味合いが強い行為と言えます。
まとめ
- 拿捕とは国家が行う船舶・物資の強制押収行為
- 本来は戦時を想定した国際法上の概念
- 最近のアメリカによる石油タンカー拿捕は平時の異例事例
- 国際法違反かどうかを巡り各国の主張が激しく対立
今回の事例は、国際秩序や制裁体制のあり方を考える上で、 今後も重要な論点となるでしょう。

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